「政治とカネ」というのは、政治を語る上では避けては通ることができない要素の一つです。政治家のお金の動きは一見謎に包まれていそうではあるのですが、実は調べてみると政治資金収支報告書という形で公開されています。最近では「政治資金報告書データベース」というものが公開されており、従来よりも簡単に政治資金の流れを追いかけることが可能になりました。本記事では政治資金報告書データベースの使い方について紹介していきます。
政治資金収支報告書データベースとは?
政治資金報告書データベースの使い方を説明する前に、このデータベースがどのようなものなのかを理解する必要があります。政治資金収支報告書は一般的に公開されている情報ではありますが、これまではその中の内訳を調べるのにはかなり手間がかかりました。政治資金報告書データベースはこれらの問題点を解決し、政治資金報告書を検索しやすくしたウェブサービスが政治資金報告書データベースの概要です。
開発者は東京大学大学院生の西田尚史さん
政治資金報告書データベースの開発者は東京大学大学院法学政治学研究科の博士課程に在学している西田尚史さんによって開発されました。このデータベースは2025年4月に一般公開されており、だれでも無料で使用することができるサービスです。収録されている政治資金報告書の範囲は2023年度分をベースにして網羅的にデータ化されています。
西田尚史さんの概要
西田尚文さんは博士課程に在学しつつ「政策推進機構」の代表理事としても活動しています。彼はもともとベンチャー企業の経営や経営コンサルを経て現在に至っており、その活動はXアカウントでその活動実績やこれまでの経緯を知ることができます。彼が制作した政治資金収支報告書データベースの更新情報についてもこちらのアカウントでアナウンスされています。
収録範囲の概要
政治資金報告書データベースに収録されている内容は非常に網羅的です。具体的にいえば、衆議院参議院両方の国会議員に関連する政治団体、国会運営に携わる主要な5政党(自由民主党、公明党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党)の党本部と都道府県レベルの政党支部、各政党の政治資金団体を含んだ役2400段台分のデータを収録しています。これらの団体が提出している政治資金報告書は約65000ページ以上にも上り、データレコードは50万件にも上ります。
データベースの処理プロセス
政治資金報告書データベースのもとになっているのは総務省や各都道府県の選挙管理委員会が公表している政治資金収支報告書のPDFデータです。これらの画像データを文字データに変換して、団体や人名、金額、日付などのデータに変換しています。従来だとPDFを読んで書き写す必要があった煩雑な処理をこのデータベースだと簡単に行うことができるのが大きな利点だといえます。
具体的な使い方
今までの政治資金報告書は、データが分散していて探しにくい状態でしたが、この政治資金収支報告書データベースはいわゆる検索エンジンのようにほしい情報についてキーワードなどを利用して使って検索することが可能になっています。本項では具体的な政治資金収支報告書データベースの使い方について紹介していきます。
キーワード全文検索が可能
政治資金収支報告書データベースの使い方で一番わかりやすいものとして、キーワードで全文検索することが可能な点が挙げられます。この機能を利用すると特定の支出や金額、日付などを検索することが可能です。例えばゴルフなどの特定の支出の多い国会議員などを検索して特定するといった楽しみ方もあります。
グラフやランキングなどの可視化
キーワード検索による一覧化だけではなく、政治資金収支報告書データベースでは、銀別の収入構成の可視化や、支出のランキング表示などの量的な比較を行うことも可能です。グラフやランキングなどの目に見える形式での可視化は数字があまり得意ではない有権者にとってもわかりやすく、政治家の活動をわかりやすくとらえる上でも有用な機能であると言えるでしょう。
詳細な検索内容の表示
キーワード検索やランキングの可視化された結果から政治家個人の団体のページなどにも遷移することが可能であるため、幅広い検索をかけて深く個人のデータを掘り下げていくといった方法でも政治資金収支報告書データベースを利用することが可能です。
優秀なポイント
政治資金収支報告書データベースには従来の政治資金収支報告書の公開方法と比べて優秀なポイントが何点か存在します。これまでは政治資金収支報告書を読み解く場合には、紙やPDFなどの個別の報告書にいちいち目を通さなければならなかったのが、このデータベースを利用することで用意に集計することが可能なりました。また都道府県の支部レベルでの資金の流れを見ることができる点や、容易に国民一人一人が政治家の資金の流れをとらえることが出来るようになった点も評価するべきポイントです。
政治資金収支報告書データベースの限界点
政治資金収支報告書データベースは簡便に政治資金の流れを検索できる有益なツールではありますが、何点か技術的な限界点は存します。その一点目としては、政治資金毎の表記の触れなどがある点が挙げられ、完全に正確なデータの集約という点においては課題が残ります。またデータのカバー範囲も2023年度が中心であり、今後のデータの拡充が求められています。
具体的な使い道
先程の項では政治資金収支報告書データベースの使い方について説明しましたが、実際にはどういった目的で使用するのが望ましいか、いくつかの例を挙げて紹介していきます。第一には特定の議員のお金の流れを把握してするという例が挙げられます。選挙の際の判断の基準や不正の追及などにも利用することが可能だといえます。また特定の支出項目のランキングを作り、ゴルフや料亭など無駄な支出をしている国会議員を炙り出す用途でも利用すること可能です。
まとめ
政治家の資金の流れを見ることは、その政治家の資質を測る上でも重要な要素だといえます。政治資金収支報告書を読み解くことで無駄な食費や交際費などを明らかにすることが可能です。政治資金収支報告書データベースは国民が政治活動を監督するための非常に重要なツールとして今後も発展していくことが期待されます。